会社員として働く中で、自分の実力をもっと発揮したい、もっと自由に働きたいと考えることもあるでしょう。そんな場合、会社を離れて独立することは一つの選択肢です。独立するときには様々な事務手続きが必要になりますが、その中に開業届というものがあります。正確には、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「個人事業税の事業開始等申告書」の二種類、あるいは前者を指して開業届と呼び、前者は税務署に、後者は都道府県の税務署に提出するものです。また、前者は開業日から一か月以内に提出することが進められている一方で、後者は都道府県によって提出期限が異なる点にも注意しましょう。
しかし、大前提としてこれらの届け出をしなかった場合の罰則は存在しないため、開業届を出さなくとも事業を開始することはできます。では、これらの手続きにどのようなメリットがあるのでしょうか。その最も大きなものは、確定申告の際に青色申告を行うことができるという点です。青色申告は普通の確定申告よりも条件が厳しくなっていますが、その分最大で65万円もしくは55万円の特別控除を受けることができ、大きな節税になるのです。また、家族の給与を経費にすることもできます。さらに、仕事用のオフィスを賃貸契約するときや、事業用の銀行口座を開設する際に開業届の控えが必要になるほか、自身の職業の証明書として使うこともできます。
つまり、開業届を出さなくても独立はできるが、事業拡大を目指していく場合は、開業届を出すメリットの方が大きいということです。自身の将来設計に合わせて、もし必要な場合は開業届を忘れずに提出しましょう。